通信大学用ブログ

☆慶應大学通信教育課程 文学部。 ★主に学習過程について書いていきます。 ☆皆さんのお役にたてば幸いです。 ★その他の通信大学(高校)にお通いの方にもお役に立てれば幸いです。 ☆コメント質問歓迎しております。

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『The Last Leaf』by O.Henry ⑦

「ジョーンジー、ねえ」とスーがジョーンジーの上にかがみこんで言いました。「目を閉じて、窓の外を見ないって約束してくれない?私の仕事が終わるまで。これらの絵を明日までに出さなきゃいけないのよ。描くのに灯りがいるのよ、そうでなきゃ日よけを降ろしてしまうのだけれども」

「違う部屋で描いていただけないかしら?」ジョーンジーは冷たく言った。

「むしろ、あなたのそばにいたいのよ」スーは言った。「それに、あんなつまらないツタの葉っぱなんか見ていて欲しくないのよ」

「終わったらすぐに教えてね」とジョーンジーは、目をつむりながら、倒れてしまった彫像のように、白くて動かない様子で横たわって言った。「だって最後の一葉が散っていくのが見たいもの。もう待つのは懲り懲り、考えるのにもこりごり。掴まえていたものすべてを離したいの。そしてあの哀れで疲れた気の葉っぱみたいに、私も落ちて行きたいの。」

「もうお休みなさい」とスーが言った。「ベアマンさんを上に呼んでこなくちゃいけないの、私の、年老いた世捨て人の炭鉱夫のモデルになってもらうために。すぐに戻ってくるわ。戻ってくるまで動かないでいてね」 



『The Last Leaf』by O.Henry ⑥

「葉っぱよ。古いツタについている。最後の一葉が落ちるときに、私も死ぬのよ。そのことは3日前から分かっていたわ。お医者さんはあなたに言わなかったの?」

「まぁそんな馬鹿げたことは聞いたことがないわよ」スーは大げさに笑いながら文句を言った。「古い蔦の葉っぱが、あなたが元気になることと、どんな関係があるのよ?あなたはとてもあのツタのことが好きだったじゃない、おバカさん。ばかはやめて。あのね、お医者さんはこう言ったのよ、あなたがすぐに良くなる見込みと言えば、えーっと、お医者さんが言った通りの言葉を使うと、彼は、見込みが『1に10だ』って言ってたのよ!あのね、それって、ニューヨークで電車に乗るとか、新築のビルを通り過ぎるときと同じほどのチャンスなのよ。まずスープを少しお飲みなさいよ。このスージーを絵を描くことに戻らせてよ、編集者にそれを売ってね、そして病気の可哀想なお子ちゃまにポートワイン(ポルト酒)を買えるのよ。そしてその腹ペコで貪欲なわたし自身にはポークチョップを買うのよ。」

「もうワインは買わなくてもいいわ」ジョーンジーは言った。目を窓の外に、じっと向けたまま。「また散ったわ。いいえもうスープはいらないの。あと4枚が残ったわ。暗くなる前に、最後の一葉が散るのが見たいわ。そうして私も逝くのよ」 



『The Last Leaf』by O.Henry ⑤

ジョーンジーは目を大きく開いていました。彼女は窓の外を見てそして数を数えて、逆に数を数えていた。

「12」彼女は言い、それから少し後に「11」と言った。そしてまた「10、9」さらに「8、7」これはほとんど同時に言った。

スーは、気にかかって、窓の外を見た。ーー何を数えているんだろう?ーー
窓の外には、空っぽの侘しい庭があるだけだった。20フィート(6m)離れた場所に、煉瓦造りの家の何もない側の壁があるだけだった。
ふしくれ立っていて、根元のところで腐りかかっている、とても古いツタのツルが、煉瓦造りの壁の中ほどまで上につたっていたのであった。
冷たい秋の風が、葉っぱを叩き落としてしまった。そうしてほとんど葉っぱのない裸同然の枝が崩れかかったレンガにしがみついていたのであった。

「なあに?」とスーが言った。
「6」とジョーンジーが、ほとんど囁くように言った。「早く落ちるようになったわ。3日前は100くらいあったのよ。数えるのに頭が痛くなるくらいだったわ。でも今は簡単ね。またひとつ散ったわ。残っているのは5だけね」

「何が5なの?仲良しのスーにも教えてよ」 



『The Last Leaf』by O.Henry ④

医者が行ってしまった後で、スーは仕事部屋に入って、そして、スーは泣いて、日本製のナプキンをドロドロの状態にしてしまった。
それから踏ん反り返るような歩き方で、ジョーンジーの部屋に入っていった。スケッチブックを持ち、そして口笛でラグタイムを吹きながら。

ジョーンジーは横たわっていた、寝具の下でほとんど動くこともなく、顔を窓に向けたままで。
スーは口笛をやめました。ジョーンジーが眠っていると思ったので。

スーは画板を整え、雑誌小説の挿絵となるペン画に取り掛かったのだった。
若い画家は雑誌の挿絵を描いて芸術の道を切り開かなければならない。その雑誌小説といえば、若い作家が、文学の道を切り開くために書かなくてはならないものなのです。

スーが、主人公のアイダホ州のカウボーイが身につける優美なホースショー用の乗馬ズボンと、片眼鏡を描いているときに、低い声がーー数回繰り返された。スーは急いでベッドのそばに行った。 



『The Last Leaf』by O.Henry ③

ある朝のこと、灰色のもじゃもじゃした眉をした、多忙な医者がスーを廊下に呼んだ。

「彼女が助かる見込みは、10にひとつでしょう」と医者は、体温計の水銀を振り下げながら、言った。「その見込みは、彼女が生きたいと思うことにあるんですよ。こんな風に、葬儀屋さんの側に整列をすることを人がしたら、どんな薬でも、馬鹿馬鹿しいものになってしまう。あなたのご友人のお嬢さんは、自分が良くならないと覚悟している。あの子が何か心にかけていることはあるだろうか?」

「あの子はいつか、ナポリマンの絵を書きたいと思っていました」とスーが言った。
「絵を描きたいだって?バカな!何かよく考えるだけの価値のあることは何か心にはないのかな?ーー例えば、男のこととか?」
「男ですって?」スーは、口琴、琵琶ボーン(jew's-harp)のような鼻声で言った。「男だなんて、そんな、先生、そういう話はありません。」

「それじゃぁ、それが弱点だな」医者が言った。「私は、科学ができることーー私の能力を通して滲み出る限りーー私の努力を通してできる限りーーは全てやるよ。だけれども、僕の患者が、自分の葬列に連なっている車の数を数え始めたならば、私は、病気に効くはずの薬の力から、50%を引くことになる。薬の効き目は半減になってしまうんだ。もしも、君がジョーンジーに、この冬にはどんな外套の袖が流行るのかというような質問をさせることができるなら、助かる見込みが10に一つから、5に一つに変わることを約束できるんだが」 

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