通信大学用ブログ

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カテゴリ: 英語



『The Last Leaf』by O.Henry (13)

その日の午後、スーはジョーンジーが横たわっているベッドのところに来た。ジョーンジーは、とても青く全然実用的ではないウールのショルダースカーフを満足気に編んでいた。スーはジョーンジーに腕を回して、枕も何もかも抱きかかえた。

「ちょっと話したい事があるのよ、白鼠ちゃん」スーが言った。
「今日ベアマンさんが病院で肺炎のためにお亡くなりになったのよ。病気はたった二日だけだったわ。病気にかかった一日目の朝、下の自分の部屋で、痛みのために動けなくなっている状態のベアマンさんを管理人さんが見つけたそうよ。ベアマンさんの靴も服もぐっしょりと濡れていて、氷みたいに冷たかったそうよ。あんなひどい晩に一体全体どこに行っていたのか、みんな想像もできなかったそうよ。そうしたら、ランタンがあって、まだ灯りがついていたのよ、それからハシゴを見つけて、元あった場所から引き摺り出されていたの。さらにそれから、散らばっていた筆もあったの。そして緑と黄色の絵の具が混ぜられたパレットもあったわ。ーーねえ窓の外を見てご覧なさいよ。あの壁のところに、最後の一枚のツタの葉があるでしょう。どうして、あの葉は風が吹いてもひらひら動かないのか、不思議に思わなかった?あぁジョーンジー、あれはベアマンさんの傑作なのよ、ベアマンさんは、あそこにあのツタの葉を描いたのよ。最後の一葉が散ったあの夜に。」 



『The Last Leaf』by O.Henry (12)


ジョーンジーは長い間横になって、その葉っぱを見ていた。
それからしばらくして、コンロの上でチキンスープをかき混ぜているスーに呼びかけた。

「私はずっと、とても悪い子だったわスー」ジョーンジーは言いました。「何かが、あの最後の葉を散らないようにして、私がなんていけないことを思っていたかということを教えてくれたのね。死にたいと願うことは、罪なんだわ。ねぇ、少しスープを持って来てくれないかしら、それから中にポートワインを少し入れたミルクもお願いするわ。あぁ、いいえ違うわ、手鏡をまず最初に持って来て欲しいの。それから、まくらを私の周りに集めてちょうだい。そうすれば体を起こして、あなたが料理をするのを見ていられるわ」

一時間経って、ジョーンジーがこう言った。
「スー、私はいつかナポリマンを描きたいのよ」

午後に、あのお医者さんがやってきて、彼の帰り際、スーは医者がいる廊下に行くために言い訳をした。

「見込みは、五分五分だ」と、スーの細い震えている手を取って、医者は言った。「良い看病をすれば君の勝利だ。さぁ私はこれから下の階にいる別の患者を診なくてはならない。その患者の名前はベアマンだったかな、画家なんだろう。この患者も肺炎だよまた。高齢だし、身体も弱っているというし、さらに急な発病だ。彼の方は治る見込みはないだろう。だけれども、今日病院に行って、もう少し楽になるだろうよ。」

次の日、医者がスーに言った。「もう危険から脱出したよ。君の勝ちだよ。あと必要なのは栄養と看病だけだよ!」 



『The Last Leaf』by O.Henry (11)


「これが最後の一枚ね」とジョーンジーが言った。「昨夜のうちに散ってしまうんじゃないかと思っていたんだけど。風の音を聞いたから。今日は落ちてしまうんじゃないかしら、そうしたら、一緒に私も死んでしまうのよ」

「ねぇお願い」スーは疲れた顔を枕の方に近寄せて言った。「あなたもし自分のことを考えないっていうんなら、せめて私のことを考えてちょうだい。私はどうしたら良いの?」

でもジョーンジーは何も答えませんでした。この世で最も孤独なのは魂です、それが神秘に満ちた、遠くへ旅立つ準備をしている場合には。
死という幻想がジョーンジーをより強く捉えているように見えた。だんだんと彼女を、友情とそしてこの世に結びつけている絆が弱くなっていたのだった。

日がだんだんと経っていって黄昏を通してさえも、二人は壁にくっついた、ツタの茎にしがみついているたった一枚のツタの葉を見ることができた。
やがて夜が来て、北風が再び吹き出して、そしてそうこうしているうちに雨が窓を打ち続け、低いオランダ風の庇(ひさし)から下へとその雨がパタパタと音を立てて落ちていた。

朝が来て、ジョーンジーにとって十分なくらい明るくなって、ジョーンジーは冷酷な人になっていて、日除けをあげるようにと命じたのでした。
そのツタの葉はまだそこにありました。 



『The Last Leaf』by O.Henry ⑩

「あんたも女ってわけだ!」ベアマンさんが大声で言った。「誰がモデルにならないだって?行くよ。君についてくよ。30分の間、モデルをするだけの準備はできていると、言おうとしていたよ。ここはジョーンジーみたいに素敵な少女が病気で寝込んでしまうような、そんな場所じゃないよ。いつか私は傑作を描くんだ、そしたら私らは皆んなここを出て行くんだ、そうなんだ!」

二人が上の階に着いた時には、ジョーンジーは寝ていた。
スーは日除けを窓の敷居まで下ろして、ベアマンさんを別の部屋へと呼んだ。そこで二人はビクビクしながら窓の外にあるツタの葉を見た。
二人はしばし、話すことなく、顔を見合わせた。
ひっきりなしに、冷たい雨が降り続き、そしてみぞれまじりになっていました。
ベアマンさんは、古い青いシャツを着ていて、世捨て人の炭鉱夫のように、ひっくり返されたヤカンを岩のようにみたてて、座った。

次の朝、一時間の睡眠からスーが目を覚ますと、ジョーンジーが疲れ切って、大きく見開いた目で緑の日除けをじっと見つめている様子を見た。

「日除けを上げてちょうだい、見たいのよ。」ジョーンジーは囁くように命じた。

スーはしぶしぶ従った。

だけども、見よ!打ち付ける雨と激しい風が、一晩中続いたその後も、ツタの葉が一枚レンガの壁にくっきりとまだ残っていた。それはそのツルに残っていた最後の一葉であった。
茎はまだ濃い緑だったけれども、崩壊と腐敗の黄色でもって薄く色づいたギザギザの葉の淵の方は、勇敢にも地上20フィートほどの高さにある枝にまだぶら下がっていた。 



『The Last Leaf』by O.Henry ⑨

スーは、下にある彼の薄暗くて汚い部屋でもって、ジンの香りを強く漂わせたベアマンさんを見つけた。部屋の片隅には、何も描かれていないキャンバスがイーゼルに掛っていて、25年もの間、傑作の最初の一筆が描かれるのを待って。
スーはベアマンさんにジョーンジーの空想のことを話して、さらにスーの恐れについて話しました。それは、ジョーンジーがこの世についてわずかにかけている想いがさらに弱くなってしまったなら、ジョーンジー自身が一枚の木の葉のようにもろく散っていってしまうのではないか、という恐れです。

ベアマンさんは、明らかに涙に濡れた赤い目をして、そんなバカバカしい想像に、軽蔑と嘲笑の大声をあげた。

「なんだって!」と彼は叫んだ。「一体全体、葉っぱが忌々しいツタから散るから死ぬなんてこと、そんなバカなことを考えている人間がいるのか?そんなの聞いたこともないぞ。世捨て人の馬鹿者のモデルのポーズなんてとってやらないぞ。なんだってそんなつまらない事が頭に考えついたんだろうか?あぁ可哀想な可愛いジョーンジー」

「彼女の病気が酷くって、身体も弱っているのよ」スーは言った。「熱のせいで、心は病的になっていて、おかしな考えでいっぱいなのよ。ええ良いわよベアマンさん、私のためにポーズを取りたくないなら、しなくて結構よ。あなたはちょっと憎らしい老いぼれなだけで、軽薄で口だけって思うことにしとくわ」 

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