通信大学用ブログ

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カテゴリ:英語 > マンスフィールド『The Little Girl』

Katherie Mansfield キャサリン・マンスフィールド 
『The Little Girl』
第14回(8)
【まとめ】
★漠然と「so big , giant」で「恐怖そのもの」だった父親が
 「紙事件」でその「恐怖」がさらに鮮明になるが、
 それは「実はnot so big」な父の体躯だし「自分の過ち」もあったし「そもそもいろんな父がいるし」「父は忙しく、その他人の父と比べてはいけない」と個別に物事を考えられるようになった。
 そして、キザイヤは「a big heart」な「かけがえのない父の存在そのもの」を「父の普段の見てくれや言動」から切り離して感じることができた。

・働きづめで疲れている父を思う。
・他人の父親と比べてはならないと思う。
・自分が父の紙を破いてしまったことを思い出す。
・肉体が思っていたより大きいわけではないと感じる。
・しかし、大きな心臓の鼓動を聴く。


【日本語訳】
 「どうしたんだ?」と父親が訊いた。
 「怖い人殺しが–––ナイフを持って–––おばあちゃまはどこ?」
 父親はろうそくを吹き消して、かがんで、両手に女の子を抱き上げて、それから、廊下を通って、大きな寝室へと連れて行った。
 ベッドの上には新聞が–––電気スタンドに半分吸いかけの葉巻が、倒れないように持たせ掛けてあった。
 父親は新聞を床に放り出し、葉巻を暖炉に放り込み、それから注意深く女の子を布団にくるんだ。
 女の子の脇に横になった。
 半分眠っているものの、あの恐ろしい人殺しの怖い顔がそばにあると思われて、女の子は父親にそっと寄り添い、頭を父親の腕の下に擦り寄せて、父親のパジャマの裾をしっかりと握っていた。
 
 そうすると、暗闇は、なんでもなくなった。;そして女の子はじっと寝ていた。
 「さぁ、お前の足を私の足に擦り付けて、暖めなさい」と父は言った。

 疲れ切っていて、女の子より先に寝てしまった。
 何か不思議な感覚が女の子におとずれた。
 可哀想なお父様!そんなに大きい方ではないわ。それに、誰もお父様の面倒を見てくれる人もいないのだし…
 お父様は、おばあちゃまよりはがっしりしているけれども、でもちょうどいい硬さをしているわ(心理的にも)…
 それに、お父様は、毎日働きに出なくちゃ行けないし、そして、お疲れになっているから、マクドナルドさんのようにはなれないわ…
 女の子は、父親の書いたあの美しい書き物を破ってしまっていたのだった(そのことを思い出していた)…
 女の子は突然身体をかすかに動かして、ため息をついた。
 「どうした?」父親が訊いた「また夢を見たのか?」
 「あのね」彼女は言った「私の頭が、お父様の心臓の上にあるの;動いているのが聴こえるの。お父様の心臓って、なんて大きいんでしょう、ねえお父様」



【重要表現】 
19:She had torn up all his beautiful writing.
torn は tear の過去分詞形。tear up「ビリビリに引き裂く」tear down「取り壊す」




Katherie Mansfield キャサリン・マンスフィールド 
『The Little Girl』
第13回(7)

【まとめ】
・新しい事件、悪夢
・取りつく島もなく、鮸膠も無いアリス。すげ無いアリス。けんもほろろのアリス。


【日本語訳】
 突然のことだけれど、ある日、母は病気になり、祖母と一緒に箱型馬車で、街へ行ってしまった。

 小さな女の子(リマインドされる表現)は、雑役婦のアリスと一緒に家に残された。
 それは、昼間の間は大丈夫だったのだけれども、アリスが女の子をベッドに入れる時になると、突然のことだけれども、女の子は怖くなってしまった。

 「悪い夢を見たら、どうしたらいいかしら?」と彼女は訊ねた。
 「本当によく悪い夢を見るのよ。お婆ちゃまが私を彼女のベッドに連れて行ってくれるの–––暗闇の中では留まっていられないの–––あたり全体がヒソヒソという声で立ち込めているのよ。夢を見たらどうすればいいかしら?」
 「もうお休みなさい」とアリスは言った。女の子の靴下を脱がせ、それをベッドの桟に打ちあてながら。「大きな声を出してお父様を起こしてはダメですよ」

 しかし、あの同じ夢がまたやってきた。ナイフとロープを手にした残忍な男が怖い笑みを浮かべながら、だんだんと近づいてくる。女の子は身動きできずに、すくんでしまって、「おばあちゃま、おばあちゃま」と叫んだのだった。
 キザイヤは震えながら起きて、そうすると父親がベッドのそばに、ろうそくを手にしていたのを見た。
 

【重要表現】
18:What'll I do if I have nightmare?
What shallの省略
if節は条件を表す節。shallも未来を表している。
つまり解放条件ってこと?
28:She woke shivering, to see father beside her bed , a candle in his hand .
shivering これだけだが、wokeにかかる分詞構文
to see は「結果を表すto不定詞」。grow up/wake up の後にto不定詞がきていると、だいたい「その結果〜」という不定詞の用法になることが多い。 






マンスフィールド『The Little Girl』
Katherie Mansfield キャサリン・マンスフィールド 
『The Little Girl』
第12回(6)

【まとめ】
・トラウマ発生
・隣のマクドナルドさん
・十把一絡げだった「父親」が「それぞれの父親」へと解放される。物語の終わりで、キザイヤにとっての彼女の父親自体も、「様々な事情のある一人の父親」という、一人の父親の中の多様性も見出したのではないか?つまり、「多様な父親」を実態として受け入れた時、「一人の父親(のみならず他者)の中にある多様性の存在を発見する(ちょうど胸の鼓動を聴いて)」
 =第12回「多様な父親の発見」→第14回「『私の父』の中の多様性・個別性の発見」



【日本語訳】
 何時間か経って、お婆さんがショールでもって女の子を包んでそれからロッキングチェアで優しく揺すってくれた時に、女の子はお婆さんの柔らかい体にぴったりと寄り添っていた。
 「神様はなんのために父親なんてものをお創りになられたのかしら」女の子はすすり泣いた。
 「さあ、綺麗なハンカチがここにあるからね、私のラベンダー香水を付けてあるんだよ。おやすみなさい、いい子ね。;朝になったら、何もかも忘れているからね。お父さんに説明しようとしたんだけど、お父さんは気が立っていて、耳を傾けてくれなかったの」

 だけれども、女の子は忘れることができなかった。
 次に彼女が父親を見た時(に会った時)、女の子はさっと両手を背に回し赤みが頰にさっと差したのだった。

 隣はマクドナルド家だった。
 五人の子供がいた。
 キザイヤは、夕方、野菜畑の垣根から覗くと、五人の子供たちが鬼ごっこをしているのが見えた。
 父親は、赤ん坊のマックを肩に乗せて、そして二人の小さな女の子は父親の上着の裾に捕まっていて、花壇の周りを駆け回っていて、そして身をよじって笑っていた。
 ある時のことだけれども一度、女の子は、男の子たちがホースを父親に向けているのを––––えっお父さんにホースを向けるなんて–––目にした。そうして父親の方はと言えば、男の子たちをひっ捕まえて、くすぐって、とうとう男の子たちはしゃっくりが出始めてしまった、ことを目にした。

 女の子は、違う父親もいるのだ、と考えたのは、その時だった。


【重要表現】
23:"What did Jesus make fathers for ?"
fathersと複数形になっているのは、キザイヤが父親を十把一絡げにしているから。
11:Then it was she decided there were different sorts of fathers.
It is then that ~ のthenをさらに強調した。まさにその時だった。
十把一絡げだった父親 → いろんな父親がいることがわかった。



Katherie Mansfield キャサリン・マンスフィールド 
『The Little Girl』
第11回(5)

【まとめ】
・父のお仕置き。
・泣いて「吃る」キザイヤ 


【日本語訳】
 「キザイヤ、寝室のテーブルの上に書類があったのを見なかったかしら(見たんじゃないかと思うのよ)?」
 「ええ見たわ」彼女は言いました。「サプライズのプレゼントを作るために破いたのよ」
 「まぁ!」母は叫んだ。「ダイニングルームまで今すぐいらっしゃい!」

 キザイヤは引きづられるようにして父親が行ったり来たりしているところに連れて行かれた、父親は手を後ろに組んでいた。
 「どうした?」と彼が厳しい口調で言った。
 母親が説明した。

 父親は歩くのをやめて、そして呆れ返ったような様子で、娘を見つめた。
 「お前がやったのか?」
 「いい、いいえ」彼女は小声で答えた。
 「母さん、子供部屋に行ってその忌々しいものを持って来なさい。それから、この子はすぐにベッドに入れるんだよ!」
 泣きすぎてしまって、説明もできずに、女の子は薄暗い部屋で横になり、夕陽がベネチアンブラインドを通して差し込み、床に悲しげな小さな模様を描くのを見ていた。

 そうして父親が部屋に入って来た、手に定規を持って。
 「お仕置きだよ!」と父は言った。
 「いやよ、いやよ!」と女の子は叫んで、それから夜具・寝具の下に縮こまった。
 父親は夜具を引き剥がした。
 「居直りなさい!」父は命令し、「手を出しなさい。お前には、これを最後に、自分のものでないものには手を触れてはいけないと分からせてやる」
 「これは、お父様の、たた誕生日のための…」
 女の子の、小さな、桃色の手のひらに、定規が振り下ろされた。


【重要表現】
2:He stopped and stared in a stupefied manner at the child.
stare at で〜をじっと見つめる。そこに in ~が挿入されている。
stupefyは他)驚愕する。過去分詞になって+manner「驚くべき態度」
inが[環境・状態・状況・条件]の前置詞となって
「呆れ返ったような様子で、子供を見つめた」となる。

16:once and for all この1回限りで、これを最後にきっぱりと(やめる) 






Katherie Mansfield キャサリン・マンスフィールド
第10回(4)

【まとめ】
習慣的な出来事の続き。それと、ある日の出来事、とっても大事な。
祖母に提案され、父の誕生日プレゼントのために、クッションを作るキザイヤ。
詰め物を探していたら、「上質な紙」があったので、ちぎって詰めた。
それは父の「原稿スピーチ」だった・・・。
大変な大騒ぎの末に、母親がキザイヤの部屋にやって来て・・・


【日本語訳】
 女の子はピアノのスツールに腰掛けて、真面目に父親を見ているとついに父親は目を覚まして伸びをして時間を訪ねてそして彼女のことを見るのだった。
 
 「キザイヤそんなに人を見つめるものじゃないよ。まるで小さな茶色のフクロウみたいだよ。」

 ある日のことだけれども、風邪をひいて家でおとなしくさせられていると、祖母が父親の誕生日が翌週であると伝えて、そして、綺麗な黄色の絹切れで、ピンクッションを作ったらどうか、と勧めた。
 
 キザイヤは、苦心して、木綿の糸を二本どりにして、三辺を縫った。
 何を詰め物にしようかしら?それが問題だわ。
 お祖母さんは庭に出ていたので、女の子はいらない紙を探しに母の寝室へと入り込んだ。
 ベッド脇のテーブルの上に、上質な紙がたくさんあった。集めて、ちぎって細切れにし、クッションの袋に詰めて、最後の4つ目の辺を縫い上げた。

 父親が、通関局用に用意をした大講演原稿がなくなってしまっていたのだった。部屋中がくまなく探され、召使いは問いただされた。
 とうとう、母親が子供部屋にやって来た・・・。


【重要表現】
20:Rooms were ransacked–––servants questioned. 
・能動態ではなく受動態なのは、探された対象を強調するため。(擬似受動態?)
・servants were questioned. だが、前のwere明示のため省略されている。 




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