通信大学用ブログ

☆慶應大学通信教育課程 文学部。 ★主に学習過程について書いていきます。 ☆皆さんのお役にたてば幸いです。 ★その他の通信大学(高校)にお通いの方にもお役に立てれば幸いです。 ☆コメント質問歓迎しております。

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『The Last Leaf』by O.Henry ②

ずんぐりとした3階建てのレンガ造りの最上階ではスーとジョーンジーがアトリエを持っていた。
ジョーンジーとは、ジョアンナの愛称です。スーはメイン州(東北部、ニューイングランド内)の出身で、ジョーンジーはカリフォルニア州(西海岸)の出身でした。
スーとジョーンジーは8番街の『デルモニコの店』の定食で出会って、そして芸術とチコリのサラダとビショップスリーブの趣味がピッタリ合っているとわかって、だから共同のアトリエを持つことにしたのでした。
それは5月の事であった。

11月に入ると、冷たくて、目に見えないよそ者が、そのコロニーを歩き始めました。そのよそ者は、医者から肺炎と呼ばれていて、氷のような指で、そこかしこにいる人に、触れて行くのでした。
この東地区をこの破壊者は大股で歩き回り、何十人もの犠牲者を出していった。しかし彼の足取りは、狭くて苔むした『プレイス』の迷宮を通るときには、ゆっくりになった。

ミスター肺炎は、いわゆる騎士道精神に満ちた老紳士ではありませんでした。
カリフォルニアのそよ風でもって、薄くなってしまっている血液を持った小柄なご婦人は、血に塗れた手を持った息遣い荒い、年寄りのいかさま師の、到底獲物にはならなかった。
しかし、ミスター肺炎がジョーンジーを襲いました。その結果、ジョーンジーは床に伏すことになって、ほとんど動けなくなりました。自分の絵が描かれてある、鉄のベッドに横になったまま。小さなオランダ風の窓ガラスを通して、隣にある煉瓦造りの家の何もない壁を見ていることになった。 



『The Last Leaf』by O.Henry ①

『ワシントンスクエア』の西にある小さな地区では、道路がめちゃくちゃに入り組んでいて、『プレイス』と呼ばれる通りに、小さく別れていた。

これらの『プレイス』は不可思議な角度と曲線を描いていた。
一つの街路それ自体が1、2回交差していた。
ある画家がかつて、この通りには貴重な可能性があると見出した。
想像してください、取り立て屋が、絵の具や紙やキャンバスに対する請求書を持って、この道を通っているのだけれども、突然もとの所に戻ってきてしまった自分自身に出会うだろうということを、1セントも取り立てることができないままで。

それで、芸術家たちは間も無く、奇妙で古い、グリニッチヴィレッジへとやってきました。そして北向きの窓と18世紀の破風と、オランダ風の屋根裏部屋と、安い賃貸料を探してうろついていたのです。

やがて彼らは「白鑞性(シロメ)」のマグだとか、コンロ付き卓上鍋を1、2個、6番街から持ち込んで、芸術家村を形成することになりました。 



『Cat in the Rain』by Ernest Hemingway ⑤

彼女は化粧台に手鏡を置いて、窓のところまで行って外を見た。暗くなりかけていた。

「私、髪を後ろに持って行って、ピッタリと滑らかに、大きなシニヨンを作りたいの、触ったら感じられるような」彼女は言った。「子猫が欲しいの。膝に座って、撫でたらゴロゴロと喉を鳴らして欲しいの」

「そうかい?」ジョージはベッドから言った。

「それから、銀の食器で食べたいし、ロウソクも欲しいわ。季節は春がいいわ、鏡の前でブラッシングがしたいのよ、それから子猫が欲しいし、新しい服が欲しいわ」

「おいおいもうやめろよ。何か読んだらいい」ジョージは言った。また本を読んでいた。

妻は窓の外を眺めていた。外はすっかり暗くなっていて、ヤシの木にまだ雨がかかっていた。

「とにかく、私は猫が欲しいの」彼女は言った「猫ネコねこ!今!今髪を長くして楽しめないって言うんなら、ねこを飼ったっていいと思うわ」

ジョージは聞いていなかった。本を読んでいた。

妻は、窓から外を眺めていた。広場にはあかりが灯っていた。

誰かが、ドアをノックした。

「お入り」ジョージが言った。彼は本から顔を上げた。

入り口に、メイドが立っていた。

彼女は「大きな三毛猫」を持っていた。自分にしっかりと押し付けるように、そしてメイドの体にぶら下がっていた。

「失礼いたします」と彼女は言った「オーナーが、この猫を、シニョーラに、お持ちするようにとのことでございます」 



『Cat in the Rain』by Ernest Hemingway ④

夫人とメイドは砂利道を引き返して、ドアをくぐった。

メイドは外で傘を閉じた。

女がオフィスを通り過ぎる時、ホテルのオーナーがデスクからお辞儀をした。

彼女の体の中で、何かとても小さくて、キュッとなるようなものが感じられた。

オーナーが自分のことをとても幼くて、そして同時にとても重要な存在であるかのように感じさせた。
オーナーのせいで、自分は幼くて、そして同時にとても重要な存在であるかのように感じられたのだった。

彼女は、自分がとても重要な存在であるかのような、つかの間の感覚を抱いた。

彼女は階段を上がっていった。自分の部屋のドアを開けた。ジョージはまだ本を読んでいた、ベッドの上で。

「猫を捕まえたのかい?」彼は本をおいて言った。

「いなくなっていたわ」

「どこかに行ったんだろうと思うよ」彼は言った、読書から目を休ませて。

妻はベッドに腰掛けた。

「とってもあの猫が欲しかったのよ」彼女はいった「どうしてあの猫をそんなにも欲しかったのかわからないけど。あの可哀想な子猫が欲しかったのよ。雨の中で子猫が外にいるなんて、ちっとも面白くないわ、いいことじゃないわ」

ジョージはまた読書に戻っていた。

妻は部屋を横切って化粧台の鏡の前に座った。そして手鏡で自分の姿を見ていた。彼女は自分の横顔をじっくり見た。最初に片側、そして反対側も。それから、後頭部と首のあたりも。

「髪を長くしたらいいと思わない?」自分の横顔を見ながら言った。

ジョージは、少年のように刈り上げてある、妻のうなじを見た。

「今のままがいいよ」

「もうこれには飽きたわよ」彼女は言った「男の子みたいに見えるのはもう飽き飽きなのよ」

ジョージはベッドで姿勢を変えた。彼は彼女が話し始めたときから視線を外すことはなかった。

「とっても素敵だよ」と彼は言ったのだった。 



『Cat in the Rain』by Ernest Hemingway ③

彼女は、ホテルのオーナーを好ましい人物だと思っていた、そう思いながらドアを開けて、外を見渡した。
雨は一層強く降っていた。

ゴムのカッパを着た男が空っぽの広場を渡って、カフェの方に向かって来ていた。

あの猫は、右手の方にいるだろう。多分ひさしに沿って行けるだろう。

入り口の方で立っていると、彼女の背後で傘が開いた。

夫婦の世話をするメイドだった。

「濡れるといけません」と彼女は笑いながらイタリア語で言った。

もちろんのこと、ホテルのオーナーが彼女を差し向けたのだった。

傘を彼女の上にさしかけながら、持っている状態で、妻が砂利道を自分たちの部屋の下に着くまで歩いて行った。

テーブルはそこにあった。雨に濡れて鮮やかな緑色を放っていた。だが、猫は去っていた。

妻は急に失望感を覚えた。

メイドは彼女を見上げた。

「何か無くされたのですか?」

「猫がいたのよ」と若いアメリカの娘が言ったのだ。

「猫でございますか?」

「そうよ、猫がいたの」

「猫ですか?」とメイドが笑った。「この雨の中、猫ですか?」

「そう、そこのテーブルの下に」

そして、こう言った。「あぁあの猫が欲しかったの。子猫が欲しかったのよ」

妻が英語を話すと、メイドの顔が怖がった。

「行きましょうシニョーラ」とメイドが言った。「中に戻らなくてはいけませんわ、濡れてしまいます」

「そうね」と若いアメリカ娘は言った。 

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